【特集】空家等対策の推進に関する特別措置法について

いま、日本全国で、ものすごい勢いで空き家が増加しているのをご存知でしょうか?

 

 

5年に1度実施される国の住宅・土地統計調査が平成25年に実施されましたが、
前回調査と比べて60万戸増加して、空き家は約820万戸も存在し、
実に、日本の総住宅戸数の13.5%にものぼることがわかっています。
そして深刻なのは、この空き家の増加ペースが年々速まっており、
30年後には、空き家率が40%を超えるとの推計がされているようです。

 

ところで、なぜ日本では、こんなに空き家が増えてしまったのでしょうか?

 

その一因としては、元々欧米に比べて日本の場合は、新築住宅が好まれる傾向にあり、
中古住宅の需要があまりなかったことが原因でした。
しかしながら、最近は少子高齢化に伴う人口減少時代も大きな要因となり、
地方を中心に空き家が増えたことに加え、今後は都市部でも空き家が増えると予測され、
老朽化による倒壊やごみの不法投棄、放火など社会問題化していくことが懸念されています。

 

こういった背景から、すでに一部の地方自治体で空き家対策が進んでおりましたが、
国レベルでも、平成26年に、「空家等対策の推進に関する特別措置法」が成立しました。
同法は、平成27年2月に一部施行され、5月26日に全面施行されます。
また、平成27年には、平成27年度税制改正法が成立し、
「特定空家に対する固定資産税の住宅用地特例適用の廃止」が決定されました。

 

以下、国が推進する空家対策について、詳しく解説していきます。

 

空家等対策の推進に関する特別措置法とは

まず、「空家」の定義ですが、同法では下記のとおり定義されています。

建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが
常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。
ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。(2条1項)

そして、対策が急務とされている「特定空家」

① 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
② 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③ 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
④ その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
にある空家等をいう。(2条2項)

というように、定義されていますが、
具体的にどのような状態が特定空家に該当するかわかりにくいことから、
同法が完全施行される本年5月までには、一定のガイドラインが国から出されるようです。

 

特定空家に対する市町村の措置

同法に基づいて、市町村には下記の権限が付与されました。

特定空家等に対しては、除却、修繕、立木竹の伐採等の措置の助言、
または指導、勧告、命令が可能。
さらに、要件が明確化された行政代執行の方法により強制執行が可能。(14条)

 

これまでも、市町村レベルでも条例に基づいて個別に空家の撤去対応がされていましたが、
同法の成立によって、正式に法的根拠が与えられることになりました。

 

また、空家対策が進まなかった要因として、所有者の把握が困難という問題がありました。
これは、空家の登記は確かにあるものの、登記情報が更新されておらず、
所有者の追跡が難しかったことと、固定資産税の納税者情報を活用できなかったからでした。

 

しかしながら、今回の同法成立によって、市町村長には、

・法律で規定する限度において、空家等への立入調査(9条)や
・固定資産税情報の内部利用(10条) 等が可能となったほか
・市町村に、空家に関するデータベースの整備等の努力義務を規定。(11条)

このように、市町村の空き家対策が法的に支援されるようになりました。

 

空き家の固定資産税住宅用地特例制度の廃止

これまでは、空き家は誰も住んでいなくても住宅用地特例によって、
固定資産税が軽減されており、これが空き家放置の遠因となっておりました。

 

しかしながら、同法の成立に伴い、平成27年度税制改正によって、
同法に基づく必要な措置の勧告の対象となった特定空家等に係る土地については、
住宅用地特例制度の対象から除外する措置を講ずることとされました。

 

具体的に、固定資産税の住宅用地特例制度がどのようなもので、
更地の場合とどれくらい税額が異なるのかは、下記の記事で詳しく解説しています。

 

住宅用地制度と固定資産税の減額措置
家屋を解体したら、土地の税額はどれくらい増えますか?

 

所有者としてできる空家対策とは

これまで解説してきたように、国を挙げて空家対策が進んでいきそうですが、
個人所有者としては、下記のような切実な声も出されていますね。

地方に、亡くなった親の住宅付土地を相続したものの、
今現在、空き家になっているのですが、やっぱり取り壊すべきでしょうか?
でも、家の解体費用が結構高そうですし、
固定資産税が高額になって、支払えるかどうか心配です。

 

一般的に、木造家屋を撤去する場合、
㎡あたり1万円~2万円が大体の相場と言われており、
例えば、100㎡ほどの家を解体するとなると、
100万円~200万円の費用が発生することになります。

 

そのため、国や都道府県による市町村の空き家対策の費用補助や、
空家所有者に対する撤去補助策が今後打ち出されてきそうです。

 

また、個別の自治体でも、すでに東京都文京区で、
空家を解体し、跡地を無償借り上げする取り組みを開始しているように、
所有者側で、自治体の補助制度があるか情報収集することも大切ですね。

 

東京都文京区の空家対策の取組はこちらから

 

このように、現在住んでいる住宅、もしくは相続などで、
自分が管理することになる住宅が空き家になる場合は、
早め早めの対策が肝心です。

 

最後に、管理人としても、考えられる空家対策を、
下記のとおりご紹介しておきますので、是非参考にしてみてください。

 

賃貸住宅として活用する。

自分が住む予定はないが、住宅として残しておきたい場合は、
早めに賃貸に出し、入居してもらいましょう。
その際、上述の屋根を含めた建物全体の維持管理や、
空室リスクを避けるため、リフォームが必要となります。

 

また、最近では、テレビ等で報道されていますが、
(一社)移住・住みかえ支援機構(JTI)による、
マイホーム終身借り上げ制度が提供されています。

 

50歳以上のシニア世代対象といった条件がありますが、
空室時の最低保障賃料が設定されているなど利点もあることから、
一度検討してみてはいかがでしょうか?

 

住宅を売却する。

遠方に住む親の遺産として住宅を相続した場合など、
日常的な管理が行き届きにくくなることから、
その場合は、思い切って住宅を売却してしまうことも一つの手です。
これからの時代、住宅需要に対して供給が大幅に上回ることが予想され、
中古住宅はより一層売ることが難しくなります。決断はお早めに。

 

思い切って住宅を解体し、コインパーキングなどに転用する。

最後は、固定資産税の住宅用地特例切れを覚悟の上、
住宅を解体し、コインパーキングにしてしまう方法です。
幸いにも、今後の国の方針として、家屋解体補助や
固定資産税の減税措置などが検討されておりますので、
解体費用で、二の足を踏むことも少なくなりそうです。

 

 

【2014年5月11日記事作成】
【2015年4月5日最終更新】

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