生産緑地制度に関する2022年問題とは

戦後、東京や大阪といった大都市部では、人口の急増とともに宅地開発が進み、地価も上昇してきました。

 

ところが、市街化区域内でも、宅地化から取り残され、農地として営農されているところも、少なからずありましたが、年々、税負担が重くなってしまい、以前から、長期営農継続制度という農地課税の優遇措置が、講じられてきた経緯がありました。

 

現在では、生産緑地法という法律が、良好な都市環境を確保するため、農林漁業との調整を図りつつ、都市部に残存する農地の計画的な保全を図る目的で制定されています。

 

この生産緑地の指定を受けると、固定資産税の優遇措置が受けられますので、その内容を見ていきたいと思います。

 

 

生産緑地制度とは

生産緑地とは、市街化区域内の農地で、下記に該当する区域について、都市計画上で生産緑地地区として、定められた農地のことを言います。(同法第3条)

 

良好な生活環境の確保に相当の効果があり、公共施設等の敷地に供する用地として適しているもの
500㎡以上の面積

※【2017年法改正】面積要件を市区町村が条例で引下げ可能に(300㎡を下限)

農林業の継続が可能な条件を備えているもの

 

上記のとおり法律上、生産緑地は、良好な農地として営農することが前提となっているので、所有者には、適正な管理が求められています。

生産緑地保全のため、市町村から報告を求められたり、立入検査を受けることがあります。(同法第17条)

 

 

また、所有者は生産緑地として指定を受けた場合、当該農地に、標識を設置しなければなりません。(同法第6条)

 

終身営農義務

通常、市街化区域農地であれば、農地法に基づいて届け出るだけで、売買したり、宅地転用したりすることができます。

 

ところが、この生産緑地については、一旦、指定を受けてしまうと、農林漁業の主たる従事者が死亡等の理由により、従事することができなくなった場合、または、生産緑地として告示された日から30年が経過した場合でしか、市町村長に買取りを申し出ることができません。(同法第10条)

 

つまり、生産緑地の所有者は死ぬまで(身体故障含む)、もしくは30年間は営農する義務があるわけです。

 

その代わりに、固定資産税や相続税の優遇措置を受けられます。

 

買取申出と斡旋

生産緑地法第10条の事由による場合、所有者は、市町村長に買取り申出をすることができ、市町村長が申出を受ければ、協議の上、公共用地として整備されます。(同法第13条)

 

買取申出が不調に終われば、市町村長は、他の農林水産業者に斡旋することになり、申出の日から3ヶ月以内に、生産緑地の所有権の移転が行われなかったときは、行為の制限が解除されることになり(同法第14条)、晴れて、農地の売買や宅地転用が可能となります。

 

固定資産税の優遇措置

こちらの記事でも触れましたが、三大都市圏の市街化区域農地といえば、宅地比準で課税されますので、非常に税額が高額です。

 

しかしながら、生産緑地に指定されると、これが、一般農地の課税になりますので、要は、㎡単価数万円の世界から、㎡単価数百円の世界へと下がりますので、納税額は、びっくりするほど安くなります。

 

生産緑地に関する2022年問題とは

上記のとおり、生産緑地については30年間の営農義務がありますが、最初の生産緑地指定が、1992年に始まったことから、30年が経過する2022年に、指定解除となる、生産緑地が大量に発生することが危惧されました。

 

仮に、このまま指定解除となると巨額の税負担を嫌う、農家が一斉に農地を売り払い、宅地化されてしまいますので、ただでさえ、人口減と空き家問題に悩んでいるところに、大量の賃貸アパートが供給されるのは、国も黙っていませんでした。

 

このため、国は都市緑地法を改正し、生産緑地の指定期限が切れた30年後も、10年ごとに延長を可能としました。

 

この再指定を受けた生産緑地を「特定生産緑地」と呼び、固定資産税及び都市計画税の優遇措置は継続されます。

 

まとめ

以上のように、生産緑地制度について詳しく見てきましたが、この制度は、農地所有者にとっては、法律による強い規制と優遇税制の両側面があり、どちらを取るか、天秤にかけながら、生産緑地の指定を受けるか検討してみる必要がありますね。

 

また、生産緑地を解除してしまう場合、税負担の増加に対応するため、土地活用についてしっかりプランを練っておくようにしましょう。

 

 

【2013年11月30日記事作成】
【2021年5月5日最終更新】

 

 

このページの先頭へ戻る