農業用施設用地(農小屋)の評価方法について
農業用施設の用に供する宅地は、主に、農機具を入れる農小屋等を指していますが、従来は、宅地と同じ評価方法が採られていました。
ところが、市街化調整区域内だと、農小屋の評価額だけが周囲の一般農地と比べて、非常に高くなりすぎるということもあり、農業団体を中心として評価水準の是正要望が、全国的な動きとして出てきたため、平成12年度評価替えから、評価方法の見直しが行われています。
農業用施設とは何か
まず、具体的に、何が農業用施設に該当するかというと、農業振興地域の整備に関する法律第3条第4号の規定に基づいて、同法の農林水産省令第1条で列記されています。
その他これらに類する農畜産物の生産、集荷、調製、貯蔵又は出荷の用に供する施設
②堆肥舎、種苗貯蔵施設、農機具収納施設その他これらに類する農業生産資材の貯蔵
又は保管(農業生産資材の販売の事業のための貯蔵又は保管を除く。)の用に供する施設
③耕作又は養畜の業務を営む者が設置し、及び管理する次に掲げる施設
ア)自己の生産する農畜産物を原料又は材料として使用する製造又は加工の用に供する施設
イ)自己の生産する農畜産物又は自己の生産する農畜産物を原料
若しくは材料として製造され若しくは加工されたものの販売の用に供する施設
④廃棄された農産物又は廃棄された農業生産資材の処理の用に供する施設
上記を見てもらえると、一般の農家が想定する用途におおむね当てはまるので、特に、心配する必要はないかと思います。
農業用施設用地の評価方法
原則として、市街化調整区域内の農業用施設用地については、下記の評価方法が採られます。(近傍の土地との評価の均衡上、適当ではないときは除く。)
この造成費相当額とは、当該農業用施設用地を農地から転用する場合において、通常必要と認められる造成費に相当する額となります。
さて、実際に農業用施設用地がいくらになるか、計算してみましょう。
例えば、農地価格が㎡あたり100円で、造成費相当額が㎡あたり10,000円とすると、
となります。
普通に、宅地評価すれば、この倍以上の評価額となることが多いので、かなりのお得感があることがわかります。
役所は、意外に農業用施設を把握していない!?
役所は、家屋や工場などの建物を評価する上で、まずは、登記情報や建築確認の書類から、評価業務に取りかかっていきます。
逆に言えば、登記や建築確認をしていないと、評価から漏れ落ちることになり、しばしば、未登記家屋の課税漏れ問題などが発生しております。
また、このようなことは農業用施設にも当てはまります。
農小屋など簡素なものは、特に、登記や建築確認をせずに建築できる場合もあるからです。
したがって、農業用施設用地の評価をしてもらいたい場合は農業用施設を作ったよ、と役所に伝えることが大切です。
ただ、注意点としては、農業用施設として家屋の課税も同時にされることです。
また、家屋は、土地に対して定着性があることが求められ、移動させることができる物置などは、農業用施設に当てはまらないので、その点だけは、忘れないでおきましょう。
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