2018年度(平成30年度)税制改正の概要

先日、連立与党によって、
2018年度(平成30年度)税制改正大綱が、
決定されました。

 

来年度の税制改正は、この大綱に基づいて、
関連税法が国会審議の上、改正されますので、
事実上、決まったことになります。

 

今回の税制改正では、
主に、個人所得課税分野について、
基礎控除や給与所得控除など、
大きく見直しが行われました。

 

一方で、資産課税部門の、
固定資産税や相続税は、
どのような改正になったか、
詳しく解説してみたいと思います。

 

固定資産税の税制改正

固定資産税は租税特別措置によって、
様々な分野の軽減税制が設けられていますが、
ここでは、個人に関係するものを挙げていきます。

 

土地に係る固定資産税の負担調整措置

今回の税制改正では、
平成30年度が評価替え年度のため、
結構、固定資産税が注目されました。

 

焦点は、平成9年度から続いていた、
商業地等の負担調整措置が継続されるかどうか、
という点でした。

 

負担調整措置の詳細はこちらへ

 

すでに、住宅地については、
負担調整措置が廃止されており、
税収確保のため、地方自治体は廃止を主張していましたが、
デフレ脱却も道半ばのため、景気への影響を考慮して、
今回も、商業地等の負担調整措置は、
継続が決まりました。

 

商業地の負担調整措置継続の影響は?

土地所有者の方にとっては、
現在の負担水準が60~70%の場合、
引き続き、課税標準額は据え置きとなるので、
平成30年度の固定資産税は同額となります。

 

ただし、前回の評価替えから3年が経過しますので、
3年間で、地価が上昇している場合は、
負担水準が低下していることもありますので、
負担水準が60%以下になると、
課税標準額が加算(=増税)となります。

 

したがって、平成30年度の固定資産税が、
気になる方は、路線価の確認や、
縦覧制度の活用、納税通知書を、
よくご覧いただいた方がいいでしょう。

 

新築住宅の固定資産税減額制度

これまでどおり、2年間の延長が決まりました。
また、新築の認定長期優良住宅についても同様の扱いとなります。

 

新築住宅にかかる固定資産税(家屋)の減額措置

 

適用期間:平成30年4月1日~平成32年3月31日

 

耐震改修等を行った住宅に係る固定資産税減額制度

これまでどおり、2年間の延長が決まりました。

 

ただし、バリアフリー改修及び省エネ改修を行った住宅は、
床面積要件の上限を280㎡以下(現行は上限なし)に、
制限が設けられましたので、ご注意ください。

 

住宅耐震改修に伴う固定資産税減税制度
住宅のバリアフリー改修に伴う固定資産税減税制度
熱損失防止(省エネ)改修に伴う固定資産税減税制度

 

適用期間:平成30年4月1日~平成32年3月31日

 

賃貸住宅建設を目的とした農地転用への優遇税制の廃止

三大都市圏の特定市の市街化区域農地を転用して新築した、
一定の貸家住宅及びその敷地に係る固定資産税の減額措置が、
今回の税制改正で、ついに廃止されることとなりました。

 

賃貸住宅建設を目的とした農地転用への優遇税制の詳細はこちらへ

 

実は、この制度は多くの納税義務者にあまり影響はなく、
一部の農地所有者だけに影響がある政策的な税制なのです。

 

元々は、三大都市圏の農地所有者に対して、
農業を止めさせて、住宅供給策として、
宅地転用誘導の「アメ」に使われておりました。

 

ただ、人口減少が続く社会情勢を背景に、
空き家の問題も深刻化する中で、
あまりに多くの賃貸住宅が供給され続ける現状に、
国は歯止めをかけたいということなんでしょうね。

 

生産緑地に関する税制改正

生産緑地については、最初の指定を受けた農地が、
営農30年を迎える2022年問題が、
最近話題となっておりますが、
この問題を受けて、税制改正がされました。

 

「生産緑地制度と税制、2022年問題への対応」の詳細はこちらへ

 

基本的には、生産緑地地区のうち、期限切れ前に、
再指定を受けた農地(特定生産緑地)は、
固定資産税及び都市計画税の優遇措置は継続されます。

 

また、特定生産緑地の指定や期限延長されなかった農地は、
宅地並み評価に移行されますが、
従来通り、生産緑地から市街化区域農地に移行した農地同様に、
激変緩和措置が適用されることとなります。

 

以上が平成30年度の税制改正の内容ですが、
生産緑地制度と税制については、
混乱が出ないよう、現行制度が維持されます。

 

ただし、生産緑地については、
都市計画法の改正によって、新たに設定される、
「田園住居地域」の市街化区域農地については、
300㎡を超える部分の土地の価額が、
類似宅地価額から造成費相当額を差し引いた価額の
1/2に減価補正される制度が、
平成31年度から開始されるとのことです。

 

このあたりは、現時点ではまだわかりにくい点があるので、
国からの発表があり次第、続報したいと思います。

 

【参考】居住用超高層建築物(タワマン)に係る固定資産税等の税制改正

すでに、平成29年度税制改正済みですが、
居住用超高層建築物(いわゆる、タワーマンション)に係る、
固定資産税等の課税が見直されております。

 

【参考】平成29年度税制改正情報はこちらへ

 

平成29年4月1日以降に売買契約を締結された方は、
高層階に居住するほど、固定資産税が増加していきますので、
納税通知書をよく確認しておきましょう。

 

 

相続税・贈与税の税制改正

固定資産税の税制改正のところでも解説いたしましたが、
生産緑地の2022年問題に対応する形で、
農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度が、
下記の通り、見直されることとなりました。
また、他に大きく2点について、取扱いが見直されています。

 

相続税の納税猶予

納税猶予の適用拡大

新たに、次に掲げる貸付された生産緑地についても、
相続税の納税猶予が適用されます。

 

①都市農地の貸借の円滑化に関する法律(仮称)に規定する認定事業計画(仮称)に基づく貸付け
②都市農地の貸借の円滑化に関する法律に規定する特定都市農地貸付け(仮称)の用に供されるための貸付け
③特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律(特定農地貸付法)の規定により地方自治体または農業協同組合が行う特定農地貸付けの用に供されるための貸付け
④特定農地貸付法の規定により地方自治体及び農業協同組合以外の者が行う特定農地貸付け(その者が所有する農地で行うものであって、都市農地の貸借の円滑化に関する法律に規定する協定に準じた貸付協定を締結しているものに限る。)の用に供されるための貸付け

 

営農継続要件の見直し

三大都市圏の特定市以外の地域内の生産緑地について、営農継続要件を終身(現行20年)とする。

 

特例農地等の範囲拡大

特例農地等の範囲に、特定生産緑地である農地等及び三大都市圏の特定市の田園住居地域内の農地を追加。

 

現納税猶予されている農地の経過措置

特定生産緑地の指定又は指定の期限延長がされなかった生産緑地については、現に適用を受けている納税猶予に限り、その猶予を継続する。

 

贈与税の納税猶予

相続税の納税猶予の上記のうち、
③、④について同様に適用されます。

 

相続税の納税猶予の適用拡大のうち、
①、②については、都市農地の貸借の円滑化に関する法律の施行日以後に、
相続または遺贈により取得する農地等に係る相続税について適用されます。
なお、同日前に、同様の納税猶予を適用されている場合は、
選択により、①の適用ができ、その場合は、②も適用されることとなります。

 

小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算特例の見直し

①持ち家に居住していない者に係る特定居住用宅地等の特例対象者の範囲から、
次に掲げる者を除外することとなりました。

 

・相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係のある法人が所有する国内の家屋に居住したことがある者
・相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者

 

②貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等(相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が当該貸付事業の用に供しているものを除く。)を除外する。

 

③介護医療院に入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等について、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして本特例を適用する。

 

上記の改正は、平成30年4月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。ただし、上記②の改正は、同日前から貸付事業の用に供されている宅地等については、適用されません。

 

コンクリート等で覆われた農作物栽培施設の敷地の評価見直し

農地法等の改正を前提に、コンクリート等で覆われた農作物栽培施設の敷地について、
相続税等に関する法令の適用上、農地と同様の扱いとされることとなりました。

 

 

2017年12月31日記事作成


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